世界に目を向ければ、日本のように高齢化が進んだ国は少なくありません。
しかし、日本の高齢化のスピードは他国を大きく引き離し、それに伴う社会的な課題も山積しています。
その一つが「介護」です。介護の現場では、食事の支援が非常に重要なサービスとなっており、ここで「介護食士」という資格が注目を集めています。
では、介護食士とは一体どのような資格なのでしょうか。また、そのメリットやデメリット、取得した人の年収目安について、詳しく解説していきましょう。
目次
介護食士とは、どんな資格なの?
介護食士は、高齢者や嚥下(えんげ)機能が低下した人々など要介護者向けに、安全で食べやすく、かつ栄養バランスの取れた食事提供を行う専門家(資格)です。
この資格は、介護や栄養学、食品学の知識を有し、特別な食事の提供が求められる介護現場で活躍するために開発されました。
介護食士は、利用者の嗜好や健康状態を考慮した食事メニューの計画から調理、提供までを一貫して行います。
介護食士の「メリット」
介護食士の資格を持つことのメリットは、介護現場での食事提供において専門性を発揮できることです。
高齢者の健康維持・増進に直接貢献することができ、食の安全と栄養の両面から支援することで、利用者の生活の質の向上に繋がります。
また、介護施設だけでなく、病院や福祉施設、配食サービスなど、幅広いフィールドでの需要が期待されます。
介護食士の「デメリット」
一方で、介護食士としてのデメリットとしては、専門性が高い分、継続的な学習と技術の向上が求められる点があります。
また、介護施設や病院においては、食事の時間に合わせたシフト勤務が多く、休日や夜間に働くことも少なくありません。
このため、ワークライフバランスを保つことが難しい職場も存在します。
介護食士を取得した人の「年収(目安)」
介護食士の年収は、勤務先の施設や地域、さらにはその経験やスキルによって大きく変動します。
一般的に、介護業界全体の平均年収が比較的低めに設定されていることを考慮すると、初級職であれば年収300万円前後からスタートすることが多いです。
しかし、経験を積み、管理職などへのキャリアアップを果たせば、その年収は大きく向上する可能性を秘めています。
介護食士の「難易度」
介護食士の資格を取得するための難易度は、既に栄養士や調理師などの関連する資格を持っているかどうかによって変わります。
栄養学や調理技術に関する基本的な知識がある人は、介護食の特殊性に関する学習に集中できるため、比較的容易に資格取得が可能です。
しかし、これらの背景知識がない場合は、一からの勉強が必要になるため、より多くの時間と努力を要するでしょう。
また、介護食士は「3級・2級・1級」の段階があり、級が上がるほど難易度が上がることも覚えておきましょう。
介護食士の「カリキュラム内容」
介護食士のカリキュラムには、栄養学の基礎、食品学、調理学はもちろん、高齢者や嚥下障害を持つ人々のための食事計画、食材の選定、メニュー開発、食事提供の技術などが含まれます。
また、現場で直面するさまざまなケーススタディを通じて、実践的なスキルを身につけることも重要な部分です。
介護食士「取得までの期間」は?
介護食士になるためには、まず全国調理職業訓練協会が提供する養成講座を修了し、その後に実施される修了試験に合格することが求められます。この講習はおよそ6ヶ月間にわたって行われます。
ですので、介護食士の資格取得までの期間は、だいたい半年から1年程度と考えておくとよいでしょう。
介護食士の「費用(目安)」
介護食士の資格取得にかかる費用は、講座の提供機関や内容の充実度によって幅がありますが、目安としては5万円から10万円程度を想定しておくと良いでしょう。
これには受講料のほか、教材費や試験料などが含まれます。また、資格取得後には継続教育やスキルアップのための費用も考慮に入れる必要があります。
【まとめ】介護食士
介護食士とは、介護が必要な人々に適した食事を提供するための専門知識と技術を持つ専門家です。
この資格を取得することで、高齢者や嚥下障害を持つ人々の生活の質を支える重要な役割を担うことができます。
介護食士の資格取得には一定の努力と時間、そして費用が必要ですが、それに見合った社会的な貢献と個人のキャリアアップが期待できるでしょう。
介護食士を目指すことは、多くの人にとってやりがいのある道であり、未来の介護を支える重要な職種と言えます。
興味を持った方は、この機会に資格取得に向けて一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。